ライティングとフォトグラフのスキルを学び、「オモシロいローカルエリア」にお邪魔をして、地域の情報を編集して届ける、都市部とローカルを結ぶプロジェクト「旅する編集学校」。
2018年1月から第一期生が活動をはじめ、春までに和歌山県有田市の矢櫃(やびつ)地区の魅力を伝える冊子を卒業作品として制作するプロジェクトが動いています。
基本スキルを学ぶ講義が中心だった第1回は、ライター・フォトグラファーそれぞれ別講座でしたが、第2回は合同授業。3月の現地取材に向けて、実践を取り入れたプログラムになりました。
この日のメインは2つ。ライターとフォトグラファーがペアになり、本番さながらのインタビューを実践すること。
もう一つが、「旅する編集学校」第一期の旅の目的地、和歌山県有田市の南西部に位置する、海に面した坂のまち「矢櫃(やびつ)地区」について知り、インタビュー先を決めることでした。
インタビュー風景から学んだこと
前回の振り返りをしたあとは、早速インタビュー実践! のまえに、なんと講師2人によるインタビュー&撮影を見る機会がありました。
(めっちゃ贅沢やん!)
インタビュイーとインタビュアーの座る位置、照明の明るさ、ライターとフォトグラファーが事前に確認しておくことなど、一つひとつ教えてもらいながら場が組まれていきます。
インタビュー時間は15分。取材相手は、会場のNINI ROOMを運営する西濱萌根さんです。
相手の大切な時間を頂いて、同じ空間を共有しながら、人生で一度きりのお話をお伺いするインタビューは、とても貴重で、奇跡のような時間。
会場もそれまでの和やかな雰囲気から、いっきにキリッとした緊張感に包まれました。
インタビューをはじめる時に大切なのは、インタビュイーとの目線あわせ。
なぜインタビューをお願いしたのか、何を聞きたいのか、事前に調べた情報を踏まえて伝えていきます。
この時インタビュー時間を伝えることと、録音させてもらうことも伝え忘れないように。
インタビュー中は、相づちをうつこと、相手の目を見ることを意識します。
撮影は、枚数多く撮るのではなく、撮りたい写真をねらって撮ること。
インタビュー記事では、インタビュイーの顔写真以外に小物写真があるとアクセントになるので、インタビュー前後で撮影しておきたいです。
また掲載されるのは雑誌かWEBか? 1ページか見開きか? どこにどう載るかによって求められる写真も変わってくるので、事前にライターや編集部と打ち合わせをしておくことも大切。
例えば余白に文字を入れるなら、そこも意識して構図を決める必要があります。
インタビューのお手本を見せてもらったあとは、ライター・フォトグラファーでペアをつくり、いよいよインタビュー実践です。
オシャレでかわいいNINI ROOMの1階~3階まで見学したあと、それぞれが撮りたい絵にあわせてインタビュー場所を決定!
「これからどんな記事を書いていきたいか?」をテーマに、15分のインタビューをしました。
「インタビューってむずかしい」、「15分って短いようだけど、想像以上に色々と話を聞けるんだな」と言いながら、インタビューを終えて戻ってきた受講生のみなさん表情がとてもイキイキとしていたのが印象的でした。
第1回の講座で杉本さんが教えてくれた、「ひとつの問いから無限の旅が始まる」楽しさを、ライターのみなさんは実感したのではないでしょうか。
海と坂のまち和歌山県有田市・矢櫃地区
インタビュー実践を終え、休憩を挟んだあとは、受け入れ地域のみなさんに和歌山県有田市の矢櫃(やびつ)地区について教えてもらい、インタビュー先を決定していきました。
矢櫃地区は初代紀州藩主・徳川頼宣公によって拓かれたまち。
かつては漁業や釣りを中心とした観光業が盛んでしたが、現在は263人までに減少。高齢化率48%(有田市全体30.3%)、空き家率44%(有田市全体10%)に達し、コミュニティ機能が低下、生活が困難な状況に陥っています。
そのため、矢櫃地区は有田市の課題先進エリアとされ、移住者の受け入れを積極的に行ってきました。
取り組みの一つとして作られたのが、2017年7月にオープンした移住交流拠点施設「くらしちゃる矢櫃」です。
しかし現在のところ、お試し居住利用者は月1~2組と低迷しているのだとか。
そこで「旅する編集学校」には、「くらしちゃる矢櫃」の新たな魅力の発見と発信、そして矢櫃地区に興味を持ってくれそうな方々と新たなつながりが生まれることを期待されています。
「矢櫃地区に行ってみたい!」、「矢櫃で暮らしてみたい」。そんな風に思ってくれる人を増やすため、旅する編集学校の後半では、矢櫃地区の魅力を伝える冊子づくりに取り組みます。
3月はいよいよ1泊2日で矢櫃地区へインタビューへ!どんな出会いがあるのか、とても楽しみです。
(写真/フォトグラフ編講師 其田有輝也)